2004-10-11

[Research]キンモクセイとトイレの関係を探る

秋になると、キンモクセイ(金木犀)の香りが漂ってきます。

近所の公園にも、この花が咲いており、小さい花ながらも独特な強烈な香りを発散しています。残念ながら、今年は台風や雨で、ほとんどの花があっという間に散ってしまいした。

ところで、キンモクセイの香りというと、=トイレの芳香剤のにおい、という思考回路をもつ人が多いようです。

このように記憶する年齢はいつからなんでしょう?
また、この図式はいつごろ生まれたものなのでしょう?

キンモクセイとトイレについて、あれこれ調べてみました(写真あり)。

キンモクセイってどんな花?



まずは、キンモクセイについての調査から。キンモクセイの香りを知らない人は少ないでしょう。ですが、実際にどんな花なのかを知っていますか?

キンモクセイの花のアップ
http://had0.big.ous.ac.jp/~hada/plantsdic/angiospermae/dicotyledoneae/sympetalae/oleaceae/kinmokusei/kinmokusei.htm


よつばとキンモクセイ
よつばとキンモクセイ比較

↑写真のように、オレンジ色(だいだい色)の小さい花が、木にびっしりと生えています。自動車との比較から、木の大きさも分かります。

花の比較のために、よつばのフィギアと一緒に撮影してみました(→)。
よつばのフィギアの大きさは、高さ5.5センチぐらいです。キンモクセイの外観はこんな感じになっています。


目がテン!ライブラリー:秋の香りキンモクセイ
http://www.ntv.co.jp/megaten/library/date/03/10/1019.html


次に↑のページで、キンモクセイがどんな植物なのか調べてみました。

あの独特の匂いについては
キンモクセイの花の匂い成分、ガンマーデカラクトンには、虫を避ける効果が有るのです
との説明がありました。キンモクセイをトイレの近くに植えるのは、もしかすると虫除け(ハエ除け?)なのかもしれません。

また
キンモクセイにはオスとメスの木があり、中国から日本に入ってきたのは花が多く香りの多いオスの木ばかり
というオモシロイことも分かりました。つまり、日本のトイレの前でたっているキンモクセイの木は、オスばかりという結論になりますね。

トイレの香りと記憶するのはいくつ?



これは、ひとえに「何歳」とは言えないと思います。トイレの香りと記憶に結びつくには二つの理由が考えられるからです。
  1. トイレにある芳香剤がキンモクセイの香りだった
  2. トイレの横にキンモクセイが植えられているのを見た
この二つが考えられます。

(1)のトイレの芳香剤がキンモクセイの香りだった場合は、最初にそれを嗅いだ年齢は人それぞれだでしょう。私の場合、家のトイレの芳香剤がキンモクセイの香りだったコトはない為、これは当てはまりませんでした。

(2)のトイレの横にキンモクセイが植わっているという場合を考えてみます。自宅のトイレの横にキンモクセイが植わっているのは稀でしょう。可能性としては、公園のトイレ横か、学校の外トイレの横などが考えられます。私の場合は後者に当たりました。

小学校に一つだけあった、外のトイレの横に、キンモクセイが植わっていました。そのトイレは、体育の授業中にどうしてもトイレに行きたくなった時や、運動会の時などに使われていました。普段は利用しないトイレなのであまり目立たない(=記憶に残らない)ハズなのですが、そのトイレの横に強烈な匂いを放つキンモクセイがあった為か、いまでも鮮明に記憶に残っています。一度だけ使ったことも覚えています。

芳香剤にしろ、実際のトイレ脇のキンモクセイにしろ、あの“強烈な匂い”のおかげでトイレの記憶と“強烈に結びつく”ことが可能なのだと思われます。

トイレ用芳香剤にキンモクセイを使ったのは誰?



キンモクセイを実際に見たことがない人でも、キンモクセイの香り=トイレの香りと記憶しているのは、「トイレの芳香剤が原因」なのは間違いありません。そこで、トイレの芳香剤にキンモクセイを利用したのは誰かを探しました。

結論からいうと、そのものズバリ!の答えをウェブ上で探すことはできませんでした。
そこで、色々と“推理”をして、その“犯人”を探してみます。

まずは、「キンモクセイ」に関する特許を調べてます。

特許電子図書館
http://www.ipdl.jpo.go.jp/homepg.ipdl


まずは、『特許・実用新案』を検索しました。すると、11件が見つかりました。


…というわけで、残念ながら芳香剤に関係しそうな特許はありませんでした。

次に『商標』を検索してみました。すると3件が見つかりました。


それらしいのは、『小林製薬』だけでした。

まだまだ、キンモクセイの芳香剤ズバリ!がないので、楽天Yahoo!ショッピングで「キンモクセイ」をキーワードに商品を探してみました

すると、芳香剤でキンモクセイを利用しているのが、楽天で2件、Yahoo!ショッピングで1件、見つかりました。

楽天で見つけた一つは、フレッシュ&フレッシという聞いたことがない商品。この商品で、「キンモクセイ=トイレの香り」となったとは思えません。

楽天とYahoo!ショッピングで共通してヒットしたのが次の商品でした。

小林製薬:サワデー:キンモクセイの香り
http://www.kobayashi.co.jp/seihin/sw/


遂に有力な“犯人”が発見できました。しかも、この「小林製薬」は商標を検索したときにも登場したキンモクセイに深いつながりのある会社です。

私の結論では、この『サワデー:キンモクセイの香り』を嗅いだ人たちが、「キンモクセイの香り=トイレの香り」と記憶している、のだと推測されます。

ただし、サワデーの種類には、キンモクセイ以外もあるのですが、その他の「レモン」や「オレンジ」などの香りがトイレの匂いと直結するコトはありませんでした。やはり、あの強烈な匂いが、(トイレの)記憶と強烈に結びついたのかもしれません。

本来、キンモクセイの香りは「イイにおい」です。しかし、「トイレのマイナスイメージ」に引きずられるカタチになって、「キンモクセイはトイレの香り」+「トイレのマイナスイメージ」=「キンモクセイの香りもマイナス」などと、キンモクセイの香りに負のイメージが付くようになってしまったのだと思われます。

サワデーの歴史



サワデーが、キンモクセイの香り=トイレの香り、と結びつけた“犯人”だと結論付けました。ですが、これがいつ頃から「トイレの香り」と認識されはじめたのか気になります。そこで、どの程度の歴史があるのかを調べました。

芳香剤開発で試行錯誤
http://osaka.yomiuri.co.jp/venture/kigyouka/ki40808a.htm


↑の小林製薬の歴史によると、
75年、芳香剤「サワデー」を発売した。価格は380円で、既に発売されていた外資系メーカーなどの競合品よりも安くした。テレビコマーシャルの効果もあって、発売3か月後には70万個が売れ、年間目標の30万個を大幅に上回った。
とあります。

つまり、サワデーは1975年以降、急速に広まり、トイレをイイ匂いにしていったのだと思います。

もしかすると、1975以前に幼少をすごした人たちには、「キンモクセイの香り=トイレの香り」とは認識していないかもしれません。逆に、幼少時代から、自宅のトイレなどにサワデーが置いてあった場合、キンモクセイ=トイレという「記憶の刷り込み」が起こった可能性が高いです。

以上で、キンモクセイとトイレにまつわる調査を(推測まじりではありますが)終えたいと思います。もしも、他の有力な情報をお持ちの方は、コメントやトラックバックで教えてください。



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